はちみつの効果

スローライフ(*1)や、オーガニック商品(*2)を積極的に取り入れる人が増えてきています。

それを一言で言い表すなら、自然回帰(*3)というキーワードがぴったりと当てはまるのではないでしょうか。

  • (*1)スローライフ→効率、スピードを重視するのではなく、ゆとりある時間軸の中で、生活や自己意識の向上を図ること。
  • (*2)オーガニック商品→化学肥料や農薬不使用、または添加物不使用の商品。
  • (*3)自然回帰→回帰とは「ひとまわりして元に戻る」の意。

つまり、自然回帰とは「元は自然に沿う生活を送っていた人々が徐々にそこから逸脱し、都会生活に順応してきた。だが、失ったものも多いことに気づき、再び、自然に沿う形に生活を戻していこう」というような意味。

そんな自然回帰の観点に符合するように、「自然のままに収穫された(自然由来の)食品」を日々の生活に取り入れ、活用したいと思う方も多いでしょう。

自然由来の食品の代表格には「はちみつ」があります。

ミツバチが花の蜜を集めて独自に加工し、巣の中で貯蔵したものです。

ハチ由来の製品には、はちみつ以外にも「ローヤルゼリー(*4)」、「プロポリス(*5)」、最近では「ビーポーレン(*6)」というものも流行っていますね。

どの製品をとっても、「健康に良い」と大変高い評価を受けているものばかりです。

  • (*4)ローヤルゼリー→ミツバチの若い働きバチが花粉や蜂蜜を食べ、体内で分解し、合成した後に分泌する乳白色のクリーム。女王蜂の栄養になる。
  • (*5)プロポリス→ミツバチが、採取した樹液などと唾液を混合し、にかわ状にしたもの。抗菌作用があり、それを塗ることで巣の中を清潔に保つ。
  • (*6)ビーポーレン→Bee(ハチ) pollen(花粉)。ミツバチが足につけて運んでいる花粉団子のこと。働きバチが花粉を採取し、花の蜜や体内から分泌される唾液で花粉団子を作り、足につけて巣に持ち帰る。別名:蜂花粉。日本語では花粉荷。

ですが、はちみつを除いたその他の製品は、ちょっと気軽に手を出せるものではなく、生活水準に対してコスト面でどうにも折り合わない、といった懸念も生じます。

そこで、改めてその有効性を再認識されているのが「はちみつ」なのです。

人類がはちみつを利用していた歴史は古く、エジプトでは、紀元前3500年頃に描かれたと推定される絵の中に、はちみつの採集から保存までの様子が描かれているそうです。

働きバチ黒と黄色の縞々模様が印象的な働きバチ。

一心不乱に花粉を集めている様子は、とてもきびきびとしていて健気で、男気さえ感じます。

でも……働きバチは全てメス、ってご存知ですか?

通常のメスの幼虫は、主に花粉とはちみつを食べて育ち、その全てが働きバチとなります。

働きバチの頭部から分泌されるローヤルゼリーでのみ育てられたメスだけが、交尾産卵能力を持つ女王蜂になるのです。

話はそれましたが……

はちみつを砂糖の代わりの甘味料として使う方も多いですよね。

実は代替甘味料としてだけではなく、はちみつには様々な使用法や効能があるのです。

そこで今回は、健康と美容のために積極的に摂取したくなるはちみつの魅力をご紹介したいと思います。

 

はちみつの成分など

蜂の巣はちみつは、自然界で最も甘い蜜といわれ、約8割の糖分と約2割の水分でできています。

単純に、働きバチが採集した花の蜜が「はちみつ」だと思われがちですが、花の蜜のままでは水分が多く、糖濃度も低いです。

働きバチが持ち帰った花の蜜が、彼らによって巣の中で独自の酵素によって加工され、貯蔵され、糖度80%前後になったものが、初めて「はちみつ」と呼ばれるものになるのです。

若干のビタミン、ミネラル、アミノ酸も含まれます。

これは働きバチによるはちみつの製造過程において、働きバチの口器を通じて花粉などが混入し、それから由来したものが含有された栄養素だと考えられます。

また、はちみつのカロリーは100g換算で294kcal、上白糖100g換算384kcalに比べても
ほぼ100kcal少ないのです。

この差は小さいようで結構大きく、板チョコなら、ブロック5かけ弱。

まあ、冬山遭難したと想像してみれば、5かけの板チョコは十分すぎる量……と、考えられなくもない?

はちみつは砂糖よりは低カロリー、更に甘味度合いは、砂糖の約1.3倍以上とされます。

少量でも甘みを感じやすい、ということですね。

はちみつは、糖分の主成分が、ぶどう糖(グルコース)と果糖(フルクトース)の2種類の単糖と呼ばれるものであり、体内で消化する必要もなく短時間で吸収されますが、それによって血糖濃度が急激に変わることがありません。

一方、白砂糖の糖分は、ショ糖(スクロース)という二糖類と呼ばれるものであり、スクロースは小腸で吸収されて血流に入ります。

その反応は短時間で起き、血糖値を急激に上昇させてしまうのです。

 

はちみつの効能

はちみつイギリスに「The history of honey is the history of mankind.(はちみつの歴史は人類の歴史)」という古いことわざがあります。

はるか昔から、人類の歴史と共に歩んできた身近な甘味料、はちみつ。

人類が初めて使用した甘味料ともいわれています。

はちみつは嗜好品として役立つだけではなく、人々の暮らしの中で様々な役割を果たす、いわば薬効効果すらも期待できる可能性を秘めています。

そんな知られざるはちみつの効能について見ていきましょう。

 

殺菌効果

殺菌効果民間療法では暗黙の了解のように、擦り傷や切り傷、火傷の治療、口内炎や咳止め、喉の痛みなどに、天然のはちみつが使われてきました。

「なんとなくいいかなぁ」的な治療法を、科学的な見地から考えてみると、下記のように説明がつきます。

濃縮状態のはちみつを傷口に密着させると、その高い浸透圧により、細菌の細胞内の水分を奪います。

一般的に、細菌は水分を利用して増殖します。

水分含量50%以下では発育しにくく、20%以下では発育できません。

はちみつを密着させて細菌細胞内の水分を奪うことが、結局は殺菌に繋がるというわけです。

更に、はちみつ(純粋な天然の生はちみつ)に含まれるグルコースオキシダーゼによって発生する過酸化水素が強い酸化力を発揮することによって細菌を死滅させます。

双方が相乗することで、殺菌効果が期待できるというものです。

ですが、はちみつの浸透圧による抗菌作用は(はちみつを)薄めることで効果が失われ、更に過酸化水素の抗菌作用も熱や光に不安定のうえ、体内の組織中に存在する酵素で効果を失ってしまいます。

また、市販で売られている加工されたはちみつには、こういった抗菌効果は期待できません。

 

二日酔いの予防と解消

まずは、二日酔いのメカニズムから。

アルコールを飲んだとき、肝臓は2段階を経て、それを分解します。

第一段階→アルコールを分解することで、アセトアルデヒドという有害物質が発生。

第二段階→アセトアルデヒドを分解し、無害化してくれる。

アルコールが完全に分解されれば二日酔いは起きませんが、肝臓機能を超える量のアルコールを飲むと処理機能が追いつかず、アセトアルデヒドが分解されずに残ってしまい、血液中に溶け込みます。

血液中に溶け込んでしまったアセトアルデヒドの濃度が高いと、頭痛や吐き気を伴う、あの辛い二日酔いの症状が出るのです。

全米頭痛財団の研究報告によると、はちみつに含まれる果糖の一種がアルコールの分解を促進するので頭痛を軽減させる、とあります。

飲酒前や飲酒後に、はちみつ入りのパンなどを食べたりするだけでも効果があるとのこと。

熱々のはちみつレモンティーは、酔い覚ましにお勧めだそうですよ。

韓国ドラマでも、二日酔いで苦しむ主人公にはちみつ水を持ってきて手渡すシーンがありますよね。

 

不眠症を解消

不眠症不眠症の原因には様々なことが考えられますが、その中でも「ストレスが原因で眠れない」という人も多いでしょう。

幸せホルモンとも呼ばれるセロトニン。

ストレスを減らすといわれるこのホルモンがきちんと分泌されていないと、気分が一定せず、挙動不審でイライラしたり、満足感や幸福感を得ることができない、といわれています。

セロトニンが過度に不足すれば、何時間寝ても寝足りないし、最悪の場合、睡眠時無呼吸症候群などの睡眠障害を引き起こします。

そのため、セロトニンを増やすことは睡眠障害の改善に繋がるといえるでしょう。

セロトニンは適度に日を浴びたり、運動したりなどで増やすことができます。

逆に室内業務に偏っている(運度不足にもなりがちな)人は、積極的に食品から摂取しなければなりません。

セロトニンを増やすのに欠かせない成分が、必須アミノ酸の一つであるトリプトファンというもので、豆腐や納豆などの大豆製品、牛乳やチーズなどの乳製品、ピーナッツやアーモンド、その他、バナナなどに多く含まれています。

そこで、お勧めするのが就寝前のホットミルク。

海外ドラマでもよく見かけます。

眠れない人にマグカップ一杯のホットミルクをそっと手渡し、云々……

ホットミルクに入れる甘味料をはちみつにするだけでOKです。

はちみつは前述の通り、急激な血糖値の上昇を防ぐので糖尿病の予防にもなりますし、はちみつの主要成分の一つであるブドウ糖が、牛乳のトリプトファンの吸収を助けてくれます。

トリプトファンがうまく体内に吸収されれば、セロトニンが増えることに繋がり、不眠は解消しますよね。

 

便秘や下痢を解消する、胃腸の働きを良くする

はちみつに含まれるグルコン酸は、腸内の善玉菌であるビフィズス菌を増やす効果があります。

腸内で善玉菌が増えれば、自然と便秘や下痢などの胃腸トラブルは回避できますね。

 

動脈硬化を防ぐ

動脈硬化動脈は、体内に滞りなく酸素や栄養素を運ぶ役割があります。

加齢による老化で弾力性を失って硬くなったり、食生活の乱れから余計な沈着物が血管の幅を狭くして血の流れを阻害したりすることを動脈硬化といいます。

比較的太い動脈で起きやすく、動脈の内膜に、動物性脂肪に多く含まれる悪玉コレステロールが徐々に分厚く溜まっていくと、動脈が狭くなっていきます。

それが破れて血栓ができると、動脈は完全に塞がり、心筋梗塞や脳卒中といった重大な病を引き起こします。

はちみつの中にはカリウムなどのミネラルや、コリンなどのビタミン様物質が含まれているのが確認されています。

カリウムはむくみ予防は勿論、筋肉を正常に保つ効果があり、高血圧の予防になります。

コリンも血圧を下げ、高血圧の予防になることが知られています。

そのため、動脈硬化を防ぐ働きが期待できます。

 

疲労回復に効果的

疲労回復はちみつは、糖分の主成分が、ぶどう糖(グルコース)と果糖(フルクトース)の2種類の単糖と呼ばれるものであり、体内で消化する必要もなく短時間で吸収されます。

病中病後で体が弱っていたり、肉体疲労が蓄積されている場合、すばやく吸収でき、短期決戦での疲労回復に効果的と言われています。

また、スポーツをした後に「はちみつレモン」を食べると良いのは、レモンに含まれるクエン酸が疲労物質を分解し、食欲も増進させることで、はちみつの疲労回復との相乗効果が狙えるからです。

 

老化防止

老化防止老化の原因としては、活性酸素による体内の細胞の錆びつきが挙げられます。

体内の細胞内酵素は、発生した活性酸素を分解し、除去しようとしますが、分解しきれずに残った活性酸素が悪さをするのです。

細胞を傷つけ、がんや生活習慣病、老化を引き起こします。

天然はちみつには、酵素やビタミン、ミネラルが活きたまま含有されており、摂取することで身体の代謝を促進し、活性酸素の分解や除去がスムーズに進みます。

その作用が老化予防に効果あり、と言われています。

 

脳の活性化

脳の活性化前述したとおり、はちみつは体内で消化する必要もなく短時間で吸収されます。

胃腸の負担が軽く、エネルギー転換が早いので、脳へのエネルギー供給もスムーズです。

脳の働きを活発にするので受験勉強の時などに大いに活用してください。

 

貧血改善

貧血改善貧血とは、血液中の赤血球数やヘモグロビン濃度が低い状態をいいます。

鉄不足から起きる貧血を鉄欠乏性貧血と呼び、その原因には胃や大腸などからの出血、月経、偏った食事による鉄分の摂取不足などが挙げられます。

単純に偏食による鉄分不足の場合、鉄分補給と同時にはちみつの摂取をお勧めします。

はちみつに含有されるビタミンやミネラルが鉄分の補給を助け、貧血改善の効果が期待できます。

 

肌を美しくする天然保湿の美容効果

美肌効果はちみつは高い保湿性があるので、頭皮や顔のマッサージに取り入れたり、化粧水やパックに応用することで、肌を乾燥から守り、しっとりと保ちます。

世界三大美女の一人に名を連ねるクレオパトラも、肌や髪、爪などにはちみつをつけていたそうです。

 

咳止め、去痰効果

咳止め咳が出るのは防衛機能の一つで、気道を強く刺激する異物や有害物質が入り込むと、激しい咳が出ます。

小さな異物は、痰として排出することができます。

咳が続くと肺は圧迫され、筋肉が激しい収縮を繰り返します。

爆風にも似た咳をし続ければ疲労困憊でクラクラです。

健康な時ならまだしも、咳が出るときは風邪などで弱っている時が多いですし、咳をする度に体力を消耗していくことになります。

さて、ここで忘れてならないのは、はちみつには咳止めと去痰効果があるということです。

純粋はちみつの殺菌効果は前述しましたので、ここでは省略しますが、要は呼吸器系細菌の増殖を抑える作用があるということなのです。

はちみつを舐めると痰のキレが良くなり、のどがイガイガする不快感も和らげてくれます。

マヌカハニーや、純粋はちみつがお勧めです。

咳止め薬に頼りたくない時に、はちみつを試されてはいかがでしょう?

風邪を引いて咳き込む前に、まずは風邪に罹らないよう、予防しましょう。

参考。はちみつ以外に咳止め効果があるもの

  • 咳き止め薬
    咳き止め薬は、用量用法を守って飲みましょう。
  • 市販ののど飴
    市販ののど飴を舐める際は、咳止め成分の入った医薬品のものを選びましょう。
  • 漢方薬
    漢方薬は、その人の体質によって配合が全く異なりますので、漢方の専門医に調合してもらいましょう。
  • のど周辺部に湿布薬を貼る
    湿布薬は、顎の下にある顎下リンパ節に冷湿布を貼ると良いと言われます。体質によっては湿布薬でかぶれることもあるので注意しましょう。
  • 加湿器の使用
    空焚きしないようにしましょう。

 

ダイエット

はちみつの摂取により、体の代謝が促進されますので脂肪燃焼促進の効果も期待できます。

胃腸の働きが活発になり、便秘が解消するのでダイエット効果があると考えられます。

 

就寝前に、食べるだけの「はちみつダイエット」

ダイエット効果「寝る子は育つ」のは成長ホルモンが出ているから。

その名称が示すように、身長を伸ばすホルモンとして有名です。

「子供のとき、寝ている間に骨がギチギチと伸びている音が聞こえた」なんて言っている人もいますよね。

ですが、この成長ホルモン、これにはもう一つの大切な「代謝」という役割があります。

大人になったから成長ホルモンが不要になるわけではなく、生涯にわたって、脳の下垂体から分泌されます。

成長ホルモンが実年齢相当の分泌量より低いと、細胞の修復や再生を担う代謝がうまくいかず、その結果、太りやすくなったり、疲労感が色濃く出たり、年齢よりも早く老け込んでしまいます。

メタボ体型の人に成長ホルモンを補充すると、脂肪が減るとの研究結果も出ています。

成長ホルモンを増やすには、いくつかの方法があります。

  1. 睡眠
  2. 低血糖・空腹
  3. 食事
  4. 有酸素運動
  5. 無酸素運動
  6. 入浴
  7. 成長ホルモンの注射

などです。

ダイエット目的(代謝を増やす目的)で、はちみつを摂取して眠ることで成長ホルモンの分泌を促したいのですから、ここでは睡眠、低血糖・空腹、食事がキーワードとなりそうです。

ですが、低血糖・空腹のままでは、心地よい睡眠は得られないですよね。

そこで、就寝前にはちみつを摂取することにする。

まず、空腹感が紛れます。

更に、はちみつは白砂糖と違い、血糖値を急激に上昇させないので安心です。

空腹とは逆ですが、きちんと食事をすることでも、成長ホルモンの分泌は促せます。

はちみつに含まれているぶどう糖が脳のエネルギー源となることで体の代謝力がアップし、更に脳の下垂体からの成長ホルモンの分泌も多くなると思われます。

そして、この作用を利用しているのが、寝る前に食べるだけの「はちみつダイエット」です。

血糖値を緩やかに上げ、消化器官には負担をかけず、更に甘味による満足感も得られることで、それが質の良い睡眠に繋がる。

そして、それが成長ホルモンの分泌・促進にも大いに影響を及ぼす、というわけです。

その名の通り、寝る前にはちみつを食べるだけという簡単なダイエット方法なのですが、はちみつは主成分が糖質なので、正しい方法で行わないと逆に太ってしまう場合も考えられます。

そこで、ここでは、寝る前に食べるだけのはちみつダイエットの方法をご紹介します。

 

1. 寝る3~4時間前に夕食を済ませましょう

寝る直前などに食事を摂ると、消化のために胃腸がフル活動します。

そのまま寝ては良質の睡眠はとれません。

更に、成長ホルモンの分泌は減少します。

夕食は寝る3~4時間前に終えましょう。

 

2. 夕食は低炭水化物のものを心がけて食べましょう

就寝前にはちみつ(糖質)を摂るダイエット方法なので、夕食で予め炭水化物を多く摂ってしまうと、糖質の摂り過ぎになってしまい、肥満の原因になります。

就寝前のはちみつダイエットを行う際は、ご飯や麺類などは控えましょう。

 

3. 就寝1時間前にはちみつを摂りましょう

大さじ一杯程度の量を、そのまま舐めても良いですし、飲み物に溶かして飲んでもOKです。

就寝1時間前のタイミングではちみつを摂ることにより、就寝中には脳が成長ホルモンを分泌し、徐々に脂肪が燃焼しやすい体になっていきます。

 

代表的な13種類のはちみつ

ニホンミツバチと違い、セイヨウミツバチは通常、一種類の花からしか蜜を集めませんので、個々の花の香りや味の違いを楽しむことができます。

蜜を持つ花の数だけ、はちみつの種類も豊富にあるのです。

ここで、13種類の代表的なはちみつをご紹介します。

 

レンゲ花はちみつ

花の形が蓮(はす)に似ていることから蓮華(れんげ)と呼ばれている花の蜜で、日本では最も親しみやすいはちみつです。

癖がなく、ヨーグルトやホットミルクにも合わせやすいです。

肉料理や魚料理の隠し味や照りを出すためにも使えます。

 

アカシア花はちみつ

レンゲはちみつに次いで、日本では親しみやすいはちみつです。

あっさりとした後味で、はちみつのちょっとコクのある甘さが苦手という方でも食べやすいとされます。

アカシア花はちみつは、果糖が多く、低温でも固まりにくいのが特徴です。

「固まるその都度に溶かすのが面倒くさい」と感じる方には便利なはちみつでしょう。

 

トチはちみつ

東北地方の山地に生育するトチの木の花から採れるはちみつです。

実はトチ餅の原料になります。

色が濃く、アカシア花はちみつに次いで、固まりにくい性質を持ったはちみつです。

トチは、和名ではセイヨウトチノキと呼ばれますが、マロニエとも呼ばれます。

 

みかん花はちみつ

みかんの強い香りが心地よく、口中に広がる爽やかな酸味にほんのりとした甘さが特徴的です。

甘さは強めですが、みかんの香りと味を、ほんのり 感じるので、爽やかでフルーティー、 クセも少ないので初心者の方でも、美味しくいただけます。

柑橘系の強く爽やかな香りは、紅茶にもとてもよく合うと言われます。

 

マヌカ花はちみつ

ニュージーランド原産のマヌカの木の花のはちみつで、高い抗菌力があるとされ、口中の菌を退治し、胃中のピロリ菌抑制効果にも効くはちみつです。

紀元後700年から1700年の間にニュージーランドに来た先住民族のマオリ族は、昔からマヌカはちみつを病気治療に使用してきました。

マヌカ花はちみつには独自の成分である「メチルグリオキサール」が含まれていることも知られています。

メチルグリオキサールとは抗菌物質の一種であり、口腔ケアや、胃潰瘍や胃ガンの原因と言われているピロリ菌除去効果があるとされています。

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ローズマリーはちみつ

ハーブ石鹸やハーブ香水などとしても知られるローズマリーの花から作られるはちみつです。

フランス、イタリアなどでは、高級品として用いられています。

ローズマリーの可憐な紫色や青色の花々から採れるはちみつは、程よい甘味と爽やかな酸味を持ち、ハーブティーを思わせる微かな香りが特徴です。

また、ローズマリーティーに入れることで相乗効果が期待されます。

 

ラベンダーはちみつ

香水などに利用されるラベンダーの花から作られるはちみつです。

ラベンダー特有の香りが強く残っています。

ラベンダーの花の香りは安眠を誘うことで有名ですが、安眠効果をさらに期待するために、はちみつをホットミルクに入れて就寝前に飲みましょう。

ミルクには、幸せホルモンセロトニンの分泌を高めるトリプトファンという要素が入っているので、ラベンダーはちみつをホットミルクに入れて飲むことで、良質の睡眠を得られると考えられます。

 

百花蜜

現在流通しているはちみつの多くはセイヨウミツバチが採取したものです。

セイヨウミツバチは通常、一種類の花からしか蜜を集めません。

ですが、何らかの要因により、複数の花から蜜を集め、はちみつを作ることもあります。

それが百花蜜と呼ばれるはちみつです。

日本固有の種であるニホンミツバチは様々な季節、様々な花から蜜をとるため、これに限って「百花蜜」と呼んで区別している養蜂家もいます。

同じ土地や、同じ生産者がつくった製品であっても、ハチが採取する花の種類により、毎年ごとに味や香りが異なります。

非常に貴重で面白みに溢れたはちみつと言えましょう。

 

リンゴ花はちみつ

開封した途端、りんごの爽やかな香りが鼻孔をくすぐります。

上品な甘さに、りんごの酸味が混じります。

クセがなく、パンやヨーグルトのお供にも適します。

煮物の隠し味、また、面白い使い方としてはアイスクリームの甘味料にしてもOKです。

 

クリはちみつ

栗の花から採れるはちみつです。

栗特有の強い香りや渋味が含まれており、クセが強く、慣れていない方がそのままで食べるには少し難があります。

滋養効果が高いので、韓国では人気があります。

ナッツ類との相性は非常に良く、焼くと香ばしさを増すので、焼き菓子に使うことで美味しさが引き立ちます。

 

ソバはちみつ

そばの花から採れるはちみつで、レンゲはちみつに比べると50倍もの鉄分が含まれています。

黒糖のような濃い色が独特で、かなりクセのある味です。

そのまま食べるには不向きとされますが、香料を効かせた肉料理の隠し味などに使うことでコクや深みが増し、美味しく食べることができます。

但し、そばアレルギーの方は食べないでください。

 

ナタネはちみつ

菜の花から採れるナタネはちみつは希少価値が非常に高く、同じ原料からできるナタネ油を思わせる風味があります。

通常は黄色い色をしていますが、固まってくると不透明なクリーム色に変化します。

すぐに固まりやすい性質を持ちますが、固まった方が食べやすいといわれます。

 

クローバーはちみつ

世界中で、最も生産量の多いはちみつです。

あっさりとして食べやすく、カナダ産やニュージーランド産のものが特に良いと言われています。

同じ時期に咲く様々な花の蜜が混入し、風味が損なわれているものが多く出回っているので、純粋クローバーはちみつを選んでください。

 

質の良いはちみつの選び方と留意点

はちみつは、一体、何を基準にして選べばよいのでしょう?

ここでは、はちみつを選ぶ際の基準とも言える点について考えましょう。

  1. ミネラルなどの栄養分が多いはちみつは、色が濃く濁っているものが多い。
  2. あまりに安価なはちみつは、人工甘味料などが足されている可能性がある。
  3. 成分表にヒドロキシメチルフルフラール(HMF)含有量が表示されている時は、含有量の少ないものを選ぶこと。
  4. 高温処理されていないこと。たとえ、純粋はちみつの表示があっても、色が黒っぽいものは加熱処理の可能性が高い。
  5. 結晶化が見られるものは栄養分が多く含まれており、本物のはちみつの可能性が高い。
  6. 加工していない天然はちみつの瓶を逆さにすると、酵素がたくさん含まれているため細かい泡が立つ。

上記の点に留意しつつ、数あるはちみつの中からお気に入りを探し出すのも楽しそうです。

 

こんなはちみつには注意しましょう

マヌカハニー安価なはちみつは消費者側にとっては魅力ですが、「安かろう悪かろう」の言葉が示すとおり、加熱処理がされており、酵素などは壊れてしまっています。

また、はちみつの原料となる花に農薬が大量に使用されているかもしれません。

それを聞けば、安価なはちみつを購入することは躊躇しますよね。

「純粋はちみつ」は働きバチが持ち帰った花の蜜が、彼らによって巣の中で独自の酵素によって加工され、貯蔵され、糖度80%前後になったもので、できる限り人間の手を加えていないものを指します。

はちみつの水分を飛ばすため、働きバチたちが羽を羽ばたいて風を送った末、ようやく、とろりとした美味しいはちみつが出来上がります。

純粋はちみつと呼べる基準は、かなり厳しく設定されています。

 

効果的なはちみつの摂取量と食べるタイミングについて

毎食後、大さじ一杯程度(一日では大さじ3杯)がはちみつの理想的な摂取量だとされます。

但し、これまでの食事の質を改善せず、そのままはちみつを加えて摂ってしまえば、糖質がカロリーオーバーとなるので、食事内容や量を調節しなければなりません。

中性脂肪が高い方は、一日大さじ一杯にとどめてください。

健康や美容に良いとされるはちみつでも、糖質には変わりありません。

摂り過ぎは肥満を招きます。適量を摂取しましょう。

 

乳児にはちみつを食べさせても平気でしょうか?

1987年10月、「1歳未満の乳児には蜂蜜を与えないように」と当時の厚生省が勧告しました。

乳児ボツリヌス症の原因食品として、はちみつが挙げられるからです。

妊娠もしくは授乳中の方は摂取を控え、1歳未満の子供には与えてはいけません。

ボツリヌス菌は土壌や海、湖、川などの泥砂中に存在している嫌気性菌(酸素のない状態でよく増える菌)で、熱に強い芽胞を持っています。

芽胞という形態で菌を保護し、休眠状態のまま待ち続け、いずれ食物に取りついて増殖する機会を窺っているのです。

芽胞は100℃で10分間加熱しても完全に殺すことはできません。

自然界でハチが集めてくるはちみつに、ボツリヌス菌の芽胞が混入する可能性があり、更に嫌気性菌のため、瓶の中で芽胞に守られたまま、菌はしぶとく生き続けます。

1歳未満の乳児がボツリヌス菌の芽胞を摂取すると腸管内で菌が増え、ボツリヌス中毒を起こしてしまいます。これを乳児ボツリヌス症といいます。

症状としては、便秘状態が数日続き、全身の筋力が低下する脱力状態に移行、哺乳力が低下し、泣き声が小さくなる。

やがて呼吸筋までも麻痺するため、息ができなくなってしまいます。

潜伏期間が3~30日と長いのも特徴です。

それにしても、ボツリヌス菌は近年、シワ予防の特効薬として女性には人気ですよね。

通称ボトックスと呼ばれる、ボツリヌス菌から抽出した製剤を額の筋肉内に注射しておけば、眉を上げたときに額の筋肉が麻痺するので、額にシワができません。

筋肉を麻痺させるボツリヌス菌の特性を活かし、筋の異常な緊張で起きる斜視などへの治療にも役立てられているとか。

 

はちみつの保存方法・賞味期限について

天然はちみつは抗菌作用に優れているため、実質賞味期限はないと言っても過言ではないです。

ですが、保存期間が長くなると、風味は確実に落ちてしまいます。

はちみつを美味しく味わうためには、せめて2~3年以内に食べ切りましょう。

はちみつの保存は常温で可能です。

直射日光を避け、風通しのよい涼しい場所で保管してください。

冷蔵庫で保存すると結晶ができます。

結晶を溶かそうとして50℃以上の湯を使うと、はちみつの栄養素や酵素は分解されてしまいます。

 

固まったはちみつの溶かし方

  1. はちみつの瓶のふたを開けたまま、水を入れた鍋に瓶を入れて湯煎します。
  2. はちみつが溶け始めると同時に清潔な菜箸などで混ぜ、更に溶かしていきます。
  3. 溶けたら鍋から取り出して冷ましましょう。

固まったはちみつ固まったはちみつを溶かす際には容器ごと水に入れ、湯煎してください。

いきなり熱いお湯に瓶を入れると破損してしまう可能性があります。

はちみつの成分が壊れないように、45℃前後で湯煎しましょう。

瓶からはちみつをすくう時は、清潔な木製のスプーンを使ってください。

 

咳止めに効果のある「はちみつ大根」の作り方

  1. 適量の大根を用意し、1㎝程度の大きさに切ります。
  2. 切った大根をタッパーに入れ、上からはちみつを注ぎます。大根がひたひたに浸かるくらいが目安です。
  3. タッパーを冷蔵庫で24時間保存します。
  4. 時間が経つと共に大根の成分がはちみつに沁み出していきます。徐々にはちみつと大根から抽出されるシロップの量が増えていきます。

はちみつ大根は、そのままスプーンですくって飲むか、お湯に溶かして飲んでください。

冷蔵庫保存で2~3日もちます。

はちみつ大根

 

はちみつレモンの作り方

  1. レモンを皮ごとよく洗い、水気をとります。
  2. 沸騰した湯にレモンを30秒ほどくぐらせ、皮の表面を殺菌します。雑菌が付いたままだとうまく発酵せずにカビが生える場合もあります。
  3. 3㎜程度の薄さにスライスし、種を取り除きます。お好みで皮を薄く剥いても良いでしょう。皮を剥けば、子供にも食べやすくなります。
  4. 煮沸消毒した瓶に、レモンを入れていきます。レモンを適量入れ、隠れる程度にはちみつをひたひたに注いでいき、またレモンを入れ……と何回か繰り返します。
  5. 上下に返して混ぜながら冷蔵庫で保存します。
  6. 1~3日程度保存すれば食べられます。

はちみつレモン

 

はちみつの効能・効果【咳止め・ダイエット・美容】 まとめ

ダイエット健康促進やダイエット、肌や髪を美しく保つための美容法に役立つ食品を、日々、試されている方も多いでしょう。

古来から、美容や怪我の治療、病気療養に使用されており、その効果も実証済のはちみつは、そのままスプーンですくって食べても良し、お菓子やパン、紅茶やコーヒー、更にはお料理の甘味料に加えることもできる簡単で便利な食品です。

花々の種類によって採れるはちみつの味も豊富で特徴も異なり、そんな中、自分好みのはちみつの味を追求したり、「このはちみつにはコレ!」などと使い方にこだわるのも、なんだか楽しそうで素敵です。

「ハニー、愛してるよ」と英語で使われ出したのは、なんと14世紀からだそうですよ。

貴重で甘くて大事なもの、といった意味合いなのでしょうか。

ハニーと呼ばれる方も呼ばれない方も、はちみつ効果をぜひお試しあれ。

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